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優れた成果をスキンケアで上げるには

〜ビタミンAとビタミンCを用いたスキンケアによる最新のリジュビネーション法〜

Dr.デスモンド フェルナンデス
 Dr.Desmond Fernandes
Cape Town, The Republic of South Africa

 科学の発展が、多くの人々に健康でより長い人生を約束するようになると、形成外科手術によって若々しい外見を取り戻そうとする人たちも増えてきます。フェイスリフトにより、皮膚のたるみは改善されるが、若さにあふれた皮膚を作るわけではありません。真のリジュビネーションを実現するためには、フェイスリフトを行うと同時に若々しい皮膚作りも行うのが望ましいです。加齢により皮膚にはシワがより、色調はまだらになり、感染症やアレルギーにかかりやすくなります。本人にとっても皮膚の老化とは不快なものであるし、さらに、癌も発症しやすくなります。このような状態を未然に防ぐことが重要です。  一昔前、スキンケア製品といえば、期待感だけを瓶詰めにしたようなものでした。しかし現在、科学的な裏づけのあるスキンケア製品は、皮膚生理に基づいた若返りを実現することが出来ます。皮膚生理学への理解が深まるにつれ、皮膚を健康に保つ方法のみならず、老化のプロセスを遅らせる方法すら分かってきました。その方法とは、皮膚にダメージを与えたり、破壊する事無く、皮膚を若返らせるといった効果が慎重に研究・確認されている成分を配合したスキンケア製品で皮膚をケアすることです。

 多くの人たちは、「光老化」を、光への暴露による「疾患」だとは考えていません。なぜ、皮膚は光に曝されることでダメージを受けるのでしょうか?光は光子という、エネルギーをもつ粒から構成されており、このエネルギーの粒は波長に応じた様々な大きさがあり、例えば、UV-B波に比べてUV-A波のエネルギーが低いというのもその一例です。ある分子は特定の波長の光を吸収し、その過剰なエネルギーによって分子構造が変わります。UV-A波によって不活化されるビタミンAはその一例です。また、高いエネルギーが原子に与えられると、電子が遷移し、フリーラジカルが生じて連鎖反応が始まり、次々と他の分子を壊します。フリーラジカルと光エネルギーの吸収は、大切な抗酸化ビタミンや細胞膜、ひいては細胞自体にも損傷を与えます。このダメージの証拠がサンバーン細胞の存在であり、このまま放置しておくと光老化へと進行していくが、このダメージを抑えるために、自然界はビタミンAと抗酸化ビタミンであるビタミンC、Eとカロチノイドを用意しました。紫外線により障害を受けた皮膚にビタミンAが与えられると、サンバーン細胞の数が急激に減少することが確認されています。しかし、ビタミンAはフリーラジカルによる細胞のダメージを修復する前に、それ自身がエネルギーを吸収して、不可逆的に不活化し、その結果サンバーン細胞が減少することなく、光老化が進行します。実際光老化とは、局所的なビタミン欠乏症の現れです。これを防ぐには豊富なビタミンAが皮膚に必要です。

 ビタミンAはメラノサイト、ケラチノサイト、ランゲルハンス細胞や繊維芽細胞を正常化することで皮膚の健康を司っており、実際、ビタミンAは体を構成する全ての細胞のシグナル伝達をコントロールしています。日常生活を送る中で、ほとんどの人たちが、光に当たったところだけ局所的なビタミン欠乏症になります。しかも、UV-A波は雲を透過するので、同じことは曇りの日でも起こります。女性にはさらに不利な点があり、生理のたびに血中のビタミンAレベルが下がるため、その時期は、日光によるダメージをさらに受けやすい状態になります。ビタミンAは、酵素システムを活性化し、ケラチノサイトやランゲルハンス細胞、線維芽細胞を正常な状態に保ちます。皮膚は常にビタミンAを必要としているが、ビタミンAは絶え間なく壊れていくため、毎日のスキンケアでビタミンAを皮膚に外用する必要があります。(食事だけで皮膚内のビタミンAレベルを回復させるには時間がかかりすぎます。)多くの研究により、光老化の程度は、ビタミンAと抗酸化物質の外用により、軽減されることがはっきりと示されています。つまり、フリーラジカルを抑えるほど、光老化を抑えられるということです。ビタミンAと抗酸化物質の両方を含むスキンケアの処方には、アレルギー、感染症、皮膚癌といった老化した皮膚に生じがちなトラブルの発生率を減少させるという利点がありますが、スキンケア製品の過度な広告故に患者にとって最善のスキンケア製品を選択するのが難しい状況です。

 ここで、あまり知られていないビタミンAとCについての詳細な科学を簡単に復習してみましょう。現在、皮膚にとって理想的なビタミンA(レチノイド)については、様々なマーケティングトークが氾濫しています。レチノイン酸の外用で、光老化の様相が改善する点に研究の焦点が当てられていますが、レチノール及びその誘導体にもレチノイン酸と共通の性質があります。レチノイン酸が効くという研究者もいれば、アルコール体であるレチノールが最も効果的であるという研究者もいます。実際は、レチノールの誘導体にも同様の効果が見られています。皮膚内に存在するビタミンA(レチノイド)の約80%以上はパルミチン酸レチノールとして存在しているため、生理学上パルミチン酸レチノールが皮膚にとって最も重要なレチノール誘導体です。レチノールやレチノイン酸が占めるパーセンテージはごくわずかであり、よって光により失われるビタミンA(レチノイド)はそのほとんどがパルミチン酸レチノールです。レチノールを皮膚表面に塗布した場合、通常それはパルミチン酸レチノールへとエステル化され、皮膚内に蓄積されて、ごく一部がレチノール、もしくは、レチノイン酸として皮膚内に存在します。ケラチノサイトや線維芽細胞内では、酵素の働きにより、パルミチン酸レチノールからレチノールやレチナ−ル酸を経て、レチノイン酸へと変換され、そしてこのレチノイン酸がDNAに働きかけます。  レチノイン酸やレチノールとその誘導体の働きが同じなら、何を基準に選んだらよいのでしょうか?ビタミンA(レチノイド)分子の基本構造はほぼ同じであり、末端だけが異なります。

 これらビタミンA(レチノイド)の末端の分子量は小さいが、パルミチン酸レチノールだけが大きなパルミチン酸基を持っています。効果を発揮するビタミンA(レチノイド)はレチノイン酸だけだと考えられているが、レチノイン酸は強い皮膚刺激性を持っており、通常細胞内のみに局在しています。レチノールからレチノイン酸への代謝中間産物であるレチナールは視覚の維持に不可欠であり、レチナールもスキンケア製品に配合されるが、ケラチノサイトに取り込まれるとパルミチン酸レチノールへと変換されます。レチノールは皮膚に刺激を与え、非常に高濃度の場合、細胞膜を損傷することすらあり、さらにスキンケア製品の配合成分としての難点はレチノールは不安定で容易に酸化され、不活化されるということです。レチノール配合製品の使用期限は、一般的には6ヶ月といわれています。 外用したレチノールがケラチノサイトに取り込まれると、約98%がパルミチン酸レチノールに変換され、したがって時間の経過とともにあらわれる効果は、レチノールによるものというよりは、高濃度に蓄積されたパルミチン酸レチノールによるものといえます。レチノールのエステル体すなわちパルミチン酸レチノールや酢酸レチノールは肝臓に蓄えられる誘導体のタイプであり、刺激が少なく、活性を持ちながらもより容易に皮膚が順応します。エステル体はスキンケア製品処方中でも非常に安定であり、重要なことは、パルミチン酸レチノールは皮膚内でレチノールに、そしてレチノイン酸へと変換されるということです。

 30年前、A.Jarrettは酢酸レチノールについて研究し、酢酸レチノールはレチノイン酸と同等もしくはそれ以上に効果的であり、副作用はより少ないという結果を示しました。さらに酢酸レチノールは、レチノイン酸に比べ、角質層内への浸透速度が速いです。  ビタミンA(レチノイド)は、ケラチノサイトを正常化し、その成長を促進することで、皮膚に正常な厚みをもたらし、また皮膚を健康に保つランゲルハンス細胞を強化します。顆粒層と有棘層は厚みを増し、皮膚の保水力が向上し角質層はコンパクトニなり、皮膚がなめらかになります。メラノソームの分散はより均等になり、メラノサイトによるメラニン色素の過剰生産が抑制されます。真皮層では、繊維芽細胞が刺激されることで、タイプ1コラーゲン、グリコサミノグリカン、その他天然保湿因子の産生が促進されます。この作用により、皮膚にはハリが戻り、深部にあるエラスチンの結節が圧縮されることで皮膚がよりなめらかになります。皮脂の分泌は正常化され、ニキビの発症率が減少し脂性肌の場合は皮脂によるべたつきがおさまり、乾燥肌の場合はグリコサミノグリカンが豊富になることからモイスチャーレベルが正常な範囲まで回復する。

 では次にビタミンCについてみてみましょう。アスコルビン酸(以下AsA)は光が空気にさらされると分解し酸化型AsAになります。コントロールされた実験環境下で安定剤を加えてもAsAのジェルは最長で3週間程しか一定の濃度に保つことが出来ません。約4週間後には最初の濃度の半分くらいまで減少してしまい、3ヵ月後にはAsAの効果というものは期待できないでしょう。よってAsAを主成分とする製品は、粉末の状態で患者に提供するのが望ましい。一旦AsAが酸化されると黄褐色に変化するので容易に見分けることができAsA配合製品の使用期限を確認することは重要と考えられます。AsAはpH値がもともと低いのでAhAのように角質間の細胞間結合を緩め、皮膚の深部へAsA自体の浸透を促進するがAsAは水溶性物質であるため細胞膜の透過は困難です。またAsAは酸性なので細胞内へ浸透を促進させるために濃度を高くすると皮膚刺激がより強くなります。AsAを選択的に細胞内に取り込ませるために、AsAと他の分子を結合させたリン酸アスコルビルマグネシウム(以下VCPMg)があります。VCPMgも水溶性だが細胞内ではより効果的に取り込まれ、AsAとして作用します。またVCPMgはAsAに比べ安定性に優れています。

 AsAはキメが粗く肥厚した皮膚のケアに適しており、イオントフォレーシスやソノフォレーシスにも適用できます。敏感肌にはVCPMgのほうが適しており、黒皮症やその他、色素沈着を伴う疾患の患者にもVCPMgを勧めます。色素沈着を伴う疾患の場合、メラノサイトを紫外線から守るために角質層の厚さを出来るだけ厚く保つ必要があるので、角質剥離効果があるAsAの使用は避けるべきと考えます。VCPMgもまたイオントフォレーシスやソノフォレーシスに適しています。

 スキンケア製品に配合されるAsA誘導体には、めざましい進歩があります。新たなスタンダードとなるものは脂溶性で非常に安定性の高いテトライソパルミチン酸アスコルビル(以下VCIP)であり、AsA分子に4つのパルミチン酸分子が結合したものです。  たとえ量としてはわずかであっても、VCIPは脂溶性であるため、容易に角質層を通過して細胞内に到達します。そのため、細胞内のAsA濃度は容易に上昇します。結果として、メラニン形成に対するコントロールはさらに高まり、コラーゲンの堆積は増加し抗酸化的防御効果はより向上します。VCIPをビタミンA(レチノイド)と組み合わせることで皮膚に刺激を与えず、急速に皮膚をなめらかにそして明るくすることが出来ます。さらに、様々に抗酸化物質群や紫外線A波防止剤と組み合わせることで、色素斑は次第に消えていきます。

 形成外科医としての経験から、私たちは科学的根拠のあるスキンケア製品で患者の治療にあたるべきであると考えます。それにより、長時間持続するすばらしい結果という形で最良のリジュビネーション法を手に入るのでしょう。

引用文献:Dr.デスモンド フェルナンデス
優れた成果をスキンケアで上げるには
〜ビタミンAとビタミンCを用いたスキンケアによる最新のリジュビネーション法〜

第24回 日本美容外科学会総会(第82回学術集会)ランチョンセミナー1
2001年10月7日